まず、最初にみなさんうつ病とはどんな病気か知っていますか??
世間一般では
・気分が落ち込む
・やる気が出ない
・重症化すると自殺することも・・・
と連想する方が多いと思います。
うつ病は適切な治療しないと次第に心を蝕んでいくような病気なのです。
私が精神科10年間、患者と携わってきてその知識と経験を私の主観で書きたいと思います。
参考になればと思い書きますのでよろしくお願いします。
うつ病とは
うつ病はだれにとっても身近なものであり、あなたもいつうつ病になるかわかりません。
しかし、前兆や陥りやすい体質などがあります。
また、症状として“こころの症状”だけでなく“からだの症状”が現れることがあるので確認していきましょう。
うつ病は身近な病気
近年、うつ病の患者数は、増加しており、およそ96万人。
更に、コロナが流行し始めてからは特に増えていると報告されています。
別の調査では、16人に1人が、生涯にうつ病を経験しているとも推定されています。
うつ病はだれにとっても身近な病気なのです。
一般的な気持ちの沈み方
いやなこと、悲しいことがあると
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気分が沈んだり、やる気をなくす
こういったことがありませんか。
うつ病は
日常で感じる一時的な気分の落ち込みなどではないです。
言葉では表現しようがないほどつらい・沈んだ気分、または興味・喜びの喪失が、ほぼ1日中、ほぼ毎日、2週間以上続き、仕事や日常生活の困りごとが出てきます。
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これが「うつ病」なのです。
うつ病の 心 と 体
うつ病は、脳の働きに何らかの支障をきたした状態であると考えられています。
気力ではなかなか解決できるものではないです。
うつ病は、適切な治療が必要な病気なのです。
うつ病の症状
うつ病には心だけではなく、“体の症状”が現れることあります。
最初は気分の落ち込みや、やる気の低下などありきたりな症状で、「気合いでどうにかなるだろう」と軽い気持ちでいると身体症状にも表出するようになり、重症化するようになります。
心の症状と体の症状を確認していきましょう。
こころの症状
・抑うつ気分
・不安
・あせり
・遠くへ行きたい
・消えてしまいたい
・興味または喜びの喪失
・意欲の低下
・おっくう感
・自分を責める
・会話や本などの内容が頭に入ってこない
からだの症状
・睡眠障害
・食欲の減退
・疲労感・倦怠感
・動悸・息苦しさ
・口が渇くなど
・からだの重さや痛み
うつ病の治療では、こころの症状だけでなく、からだの症状も治療することが重要です。
まずは自分の症状や困りごとを把握して、診察の際に医師に伝えましょう。
さまざまな症状や困りごとを医師に伝えるには…
うつ病の症状が出ている方は、心や体にさまざまな症状や不安症状があらわれます。
患者さん自身でも、今どのような状態にあるのか、自分では把握しにくい状態になります。
実際に、病院やクリニックに行ったとき、医師にどうやって伝えればいいのか、看護師にどうやって説明していいのかわからないということもあるかとおもいます。
まとめて話すことが苦手と思う方は、診察の前につらいと感じている事や体の症状や不安なことなどを記載して、まとめておくこともいいかもしれませんね。
うつ病が日常生活の不安ごとを引き起こす
また、うつ病になると日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、
・以前より会社や学校に行けない。(いきたくないじゃなくいけない)
・職場には何とか行けるものの仕事がうまくいかない(仕事内容が考えられない)
・当たり前にできていた家事がこなせない
・趣味やレジャーをしたいと思わない
・人付き合いがおっくうになる
といった生活に支障をきたすことが目立ち始めます。
うつ病のサイン
うつ病は、思いのほか見逃されやすい病気です。
理由として
うつ病を発症しやすい性格の方には、自分の辛さを他の人に表現することを避けたり、手助けを求めることを控えようとする傾向が見られることです。
うつ病にかかると、過度ともいえる自責の念や、判断力の低下といった症状を招きます。
他にも人間関係のトラブルや、病気やその他の理由による体調の変化。
死別、離婚、失恋といった喪失体験。人事異動、引越し、出産などの環境の変化。
こうしたことが強いストレスとなり、うつ病発症の原因となります。
うつ病の主な症状を、改めておさらいしておきましょう。
【気分や行動面】
●憂うつ感、絶望感、悲しみなど、沈んだ気持ちが続く。
●意欲が湧かず、何も楽しめない(楽しくない)と感じている。
●ささいな出来事や他の人の言動で、自分を責めてしまう。「自分という人間には価値がない」という思いが強い。
●気力が低下し疲れやすい。思考力や集中カが低下している。仕事や日常生活において、作業能率が落ちている(あるいは、そう感じる)。
【身体面】
●重く締めつけられるような頭痛。
●腰痛、肩こリ、身体の節々の痛み。
●食欲不振、胃の痛み。
●発汗、息苦しさなど。
こうしたことは患者にとって、さらにひとりで病気を抱え込む結果につながります。
うつ病の発症には、脳内の神経の変調が関係しているので、個人の心の弱さが原因ではありません。
早めの受診をお勧めします。
家族の方が気付いた! うつ病かも?
うつ病の方の場合、自分がうつ病であることを認めたがらない、あるいは、病院の受診をためらう傾向にあります。
このため、うつ病の早期治療のためには、ご家庭や職場など、周囲の人が、ささいなことでも、うつ病のサインを見逃さないことが必要です。
ご家族の方は次の点を注意してください。
【家庭での様子】
●口数が減少した。ため息をつくことが多くなった。
●よく眠れていないようだ。
●食欲がない。
●飲酒量が増えている。
職場において、目立つ兆候として、次のような方はいらっしゃいませんか?
【職場での様子】
●今まであまりなかったような失敗が増えている。
●能率が低下している。
●遅刻や欠勤が増えた。
うつ病患者の約半数の方が、自殺を考えるといわれています。
遺書を書くなどの行動や自殺をほのめかすような言動に気付いたときは、急を要します。
このときにはまず、その辛い心境をしっかり聞いて受け止め、理解すること。
そして、『大切な存在だから、死なないで欲しい』と率直に、はっきり伝えます。
このようなときでも、本人が病院を受診したくないという場合は、ご家族の方が本人に変わって病院を訪ねて相談してみるのもいい方法かと思います
うつ病は、治療が必要であること、治らない病気ではないこと
そうしたことを、患者本人、そして周囲の人が、しっかりと心に留めて、病気の治療と共に、問題解決へと歩んでいきましょう。
実際、精神科看護師に勤めて
うちの病院には、急性期、高齢者、開放病棟があり、うつ病の方が入院している病棟は解放病棟です。私は急性期病棟に長く勤めていますが、開放病棟にも数年いました。
そのような方の看護をしていく中で最初の始まる治療が”薬剤治療”。
いわば、服薬調整です。
気分が落ち込んでいる方へ気分を上げる薬を投与していきます。
世間でいう”抗うつ剤です。抗うつ剤は服用したからといってすぐに気分が上がるわけではありません。
およそ2週間のタイムラグがあります。
すぐに気分が上がり症状が表出すれば調整もしやすいのですがホルモンの関係上そうなるみたいです。
(脳内分泌のセロトニンの関係ですね)
なので一定期間様子を見て気分を下げる薬も併用しつつ、帳尻を合わせ適量まで絞り込む必要があるため、入院期間は1ヶ月以上となる場合が多々あります。
その間には鬱の症状が改善しないまま気分が上がってしまうため、頭が追いつかなるケースも多々あります。
例えば
・みんなといるときは楽しいけど一人でいると恐怖感に襲われる。
・気分が上がるお薬を飲んでいるので頭の回転がよくなり、色々考え込んでしまうなど・・・。
そこでよく起こってしまうケースが
早朝の自殺
うつ病の方は早起きしがちです。
早朝なので誰も起きてなく、またそこで考え込んでしまい、恐怖感や不安感からの逃避、気分の上がる薬のせいで体の不自由もなくなり行動化しやすい一面があります。
よって、自殺に繋がってしまいます。
そのようなことにならないようにするにはストッパーとなる人を作っておくことが必要です。
心の支えとんる人の存在は大きいです。
・自分が死んだら誰が悲しむだろうか。
・自分がいなくなれば誰が心配してくれるだろうか
と考えが止まらない時、思い浮かぶ人がいれば踏ん張ることができます。
ストッパーはとても重要な人物となり得ます。
ですが、不用意に近づこうとすれば、心の窓をしめられ、突き放しても無価値観を与えるだけです。そこの微妙な関係性は私たちから見てもとてもデリケートな部分だと感じます。
一般的にはご両親がキーマンとなる場合が多いですが、いろんな家庭の事情がある中では難しい場合もあります。
友達や彼氏でもいいですが友達がいなくなたり、彼氏と別れたりと損失体験につながるようなことが起きれば、一気に自殺へとつながる場合がありますので気をつけて対応したがいいかと思います。
希死念慮(死にたいと思うこと)に配慮した対応
もし身近な人で「死にたい」と思うようなことを言っていたり、そのような準備をしていたら、即座に
「大切な話がある」といい呼び出して
「今あなたは死のうかしているの?」
「今死にたいと思っているの?」
「死にたい気持ちはどのくらいあるの?」
と積極的に接することが重要です。
一見、「死」を連想するような言葉は避けた方がいいかと思われがちですが
真剣に接するのであれば積極的に聞いてあげましょう。
相手も相談相手を求めていますし、存在価値を求めています。
あなたは私にとってこんでけ大切なんだよっていうのを伝えることも大切です。
気分が上がり始めた頃が気をつけて
気分が下がり身体症状として何もやるきがでなく体が動かなかったうつ期より身体症状が軽減され行動化してくる頃、がとても大切です。
まだ心のバランスが不安定な分、一人になったら気分が落ち、突発的に行動化してしまう場合があります。
回復期では入院中の患者でも外泊はやめてもらっていますので本当に注意が必要です。
あとは、心のバランスを整え、浮き沈みがないように生活をしていくことが必要です。
みなさんも気分が落ちた時には気をつけてくださいね。