精神科看護師

感受性の高い子どもに多いPTSD!

PTSD(心的外傷後ストレス障害)という病気を知っていますか?
強いショックが原因となってさまざまな症状を引き起こす心の病気です。
PTSDを起こさないようにするには、ストレス反応に対する正しい理解と対応が必要となってきます。

今回はPTSDにより心に傷を負った子どもたちと接するためのポイントを一緒に学んでいこうと思います。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?

PTSDとは
・強いショックや精神的なストレスが、原因となり、その後何度もフラッシュバックがおき、トラウマ状態となり、身心ともに不調が現れてしまう病気です。

災害や事故、事件や虐待などが原因となる場合が多いと言われています。

子どもは大人よりも感受性が強く、大人よりもPTSD陥りやすい傾向にあります。
その原因が虐待や犯罪被害者などの場合は、複雑性PTSDとなる場合が多く、人間不信や協調性の欠如、多重人格などになってしまう場合も少なくありません。

PTSDの治療・回復に関しては、時間がかかることが多く、ショックな出来事があっても、すぐに発症せずに数年後、大人になってから発症する場合もあります。

よくひどい家庭のドラマであるようなセリフですが、親から「産まなければよかった」という言葉でもPTSDの原因になりかねないです。

PTSDになる前に、大人が適切な対応・支援をしてあげることが大切ですね!

急性ストレス反応とPTSDの症状を知ろう!

これまでお話したことはPTSDですが、急性ストレス反応という似た症状もあります。

急性ストレス反応
ショックな出来事の後には、一時的にあらゆるストレス反応が現れますが、これが1カ月以上経っても続く場合には、PTSDが疑われます。

逆に1ヶ月以内なら急性ストレス反応となります。

主なストレス反応やPTSDの症状をチェックしてみましょう。

心的外傷後(ショック)のストレス反応(~5歳児程度)

明らかな精神的なショックがあり尚且つ、次の項目に当てはまるのなら急性ストレス反応の可能性が疑われます。

食欲 ・・・食欲不振・吐き気・嘔吐・消化不良

痛み ・・・頭痛・腹痛・筋肉の痛み

睡眠 ・・・眠れない・夜中に目が覚める・悪夢を見る

排泄 ・・・便秘・下痢・おねしょ

衝動性・・・落ち着きがない・攻撃的になる・注意力が散漫になる・飽きっぽい・急に泣いたり怒ったりする

執着・再現 ・・・こだわりが強くなる・体験に関連した遊びに友だちを巻き込む・体験した出来事を何度も話す

赤ちゃん返り・・・ 泣くことが多くなる・世話をする人にまとわりつく・離れるのを怖がる気持ちの低下・無気力 元気がない・気持ちが沈み込む・ボーっとして無気力になる

※これは、当てはまる項目が多いからといって急性ストレス反応診断がくだるわけではありません。

◆PTSDの主な症状◆

フラッシュバック
過去に精神的なショック(急性ストレス反応)の体験により、同じような不安や恐怖を感じた拍子に思い出すこと。恐怖や苦痛、怒りや悲しみ、無力感など様々な感情が混じった記憶がよみがえり、パニックを起こすこともある。

回避
つらい記憶を思い出すきっかけとなる場所や人を避ける。無意識に避けてしまっている場合もあり、行動が制限されることもある。

過覚醒
常に精神的に不安定になり、集中力に欠けたり、常に極度の緊張状態になる。ささいなことに驚いたり、警戒心のあまりよく眠れないなどが起こる。

感覚まひ
つらい記憶に苦しむのを避ける防衛反応として、感情や感覚がまひする。人に心を許さず、人からも愛情を感じにくくなる。

<子どもへの関わり方>

ここからは精神的に深い傷を負った子どもたちへの接し方についてのポイントをご紹介します。
ただし、症状が長引く場合には専門的なケアが必要となります。
自分だけで抱え込まないようにましょう。

恐怖感・不安感を示す
「大丈夫だよ」と言葉に出して伝え、傍にいて安心感を与えるようにしましょう。
一緒に遊ぶ、絵本を読む、抱きしめるなどのスキンシップも良いでしょう

イライラしている
イライラしている原因がわからないことが多いので、怖い思いをした後は仕方がないことなのだと伝えます。
落ち着かないならば、気分転換も大事。
一緒に片付けなどをして気持ちを整理しても良いでしょう。

言葉が出てこない
気持ちに寄り添い代弁してあげることで、子どもを安心させてあげましょう。
クローズクエッションで心の表出してあげてもいいかもしれません

両親から離れたがらない
常に大切に思っていることを、言葉や態度で示してあげましょう。

赤ちゃん返りが見られる
おねしょや指しゃぶりなどは無理にやめさせず、まずは安心できる環境作りを心がけましょう。

眠れない
生活パターンは乱さず、今までどおり続けることが大切です。
添い寝や読み聞かせなど安心できる環境をつくり、スムーズに入眠できる環境を整えましょう。

外傷体験を何度も話す・再現する遊びをする
心の整理をしているため、やめさせるのではなく、耳を傾け寄り添うことで、子どもがその出来事について整理できるのを待ちましょう。
ただし無理に思い出させるのはNGです。

専門家に相談すべき場合もあります

虐待など、つらい体験をした後は、誰にでもストレス反応が見られますが、何カ月にもわたって症状が見られたり、生活に支障が出るほどの症状がある、悪化してしまうといった場合には、専門家への相談が必要です。

子どもたちに、専門家のケアを受けてもらうためには、保護者の協力が不可欠
災害などが原因の場合は親の同意が得られやすいですが、虐待の疑いがあるケースなどは対応に注意が必要です。

PTSDにはさまざまな原因が考えられますので対応には注意しましょう。

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moca
精神科看護師11年目。 趣味でアクアリウム(シュリンプ)をしてます。 ・bee ・タイガー ・ターコイズ ・ゼウス 家庭でゎ4人のパパです。 よろしくお願いします。