前回、強迫性障害について勉強してまとめをブログに載せましたが、なんか納得できず、違う資料で勉強し直して再びまとめてみました。同じ病名で二つ載せてますが間違いではないと思いますのでもう一つの方も見ていってください。^^
強迫性障害の特徴
強迫性障害は、強迫観念、強迫行為、またはその両方がみられる疾患です。
強迫観念とは
自分の意思に反して繰り返し生じ持続する・思考 (例 : 手が細菌に汚染された)・衝動 (例: 子どもを殺してしまうのではないか)・イメージ (例: 暴力的な場面)のことで、多くは不安や苦痛を伴う。
対象者はそれをよくないことと思って無視したり, 払いのけようとしたり、 他の思考や行動によって不安を和らげようと試みる.
強迫行為とは
繰り返される行動や声に出さずに数を数えたり、言葉を繰り返したりするなどの心の中で行う行為をいう。
その目的は強迫観念による不安や苦痛を和らげ, 恐ろしい出来事を防ぐことにある。
患者はこうした強迫観念や強迫行為に1日に1時間以上費やすなど、明らかに過剰な行為であり、社会的な機能に支障を生じている状態である。
例えば
外出する際に「家の留守中に火事が起こるのではないか」という強迫観念から不安が高まった場合、家中のコンセントやガス栓を確認するという強迫行為を行うことで一時的に不安は軽減する。
しかし、確認をしなければ安心して外出ができなくなり、徐々に一度の確認では済まず、1時間以上かけて何度も確認し続けるようになる 。
こうした確認行為のため、やがて学校や職場に遅刻したり、欠席が増えたりして, 社会生活に支障をきたすことにもなる。
さらに、家族にも確認を強要するようになったり、「本当に大丈夫?」と保証を求める巻き込みが生じることもある。
※巻き込み
自分一人では抱えきれない不安の解消を他者に手伝ってもらおうと、家族にも手を洗うことを強要するなどがある。家族がそれに応じても患者の不安は一時的に解消するが、長期的には悪化し、周囲も疲れ切ってしまうケースが多い。
つまり, 強迫観念による不安を強迫行為により軽減しようとすることで、かえって不安を強め、さらに強迫行為を繰り返すという悪循環が生じてしまうのである。
このように、対象者は自分自身で症状をコントロールしようとするが、うまくいかない状態のまま慢性化していきます。
1995年、WHOの発表によると強迫性障害は経済的損失に繋がるだけではなく、生活の質に関わる十大疾病の一つに位置付けられている。
さらに近年では, 発達障害によるこだわりや強迫症状との鑑別、さらに強迫スペクトラム障害といった比較的新しい概念の提唱などが強迫性障害に関連するトピックとなっている。
発症時期について
児童青年期には男性が多く、成人期には女性が多いが、全体的には性差はない児童・青年期に発症した場合には家族負因が強く、チックを併存することが多いとされています。
※チック
不随意的、突発的、急速で反復的な運動あるいは発声、運動チック、音声チックそれぞれが単純チックと複雑チックに分けら れる. 例として, 単純運動チッ クには, まばたき ・ 首振り・肩 すくめ, 単純音声チックには咳 払いや鼻すすり,複雑運動チッ クには飛び跳ねる・触る, 複雑 音声チックには決まった言葉の 繰り返しなどがみられる。

強迫性障害の症状
強迫観念や強迫行為の内容は、人によりさまざまです。
具体的な症状を記載します。
ため込み
・商品案内やカタログなどの配達物を集めて入念に目を通す。
・古新聞や不要なものまでため込む (ため込み)
対称性
・机やテーブルの上に置かれた物をすべてきちんと整理し、並べないと気がすまない (順序)
・部屋の出入りや椅子の立ち座りを繰り返すといった儀式的行為 (繰り返し)
・階段を上るときに段の数を数える。食堂に入ったときに椅子やテーブルの数を数える (数かぞえ)
禁断思考
・空き巣に入られるのではないかと戸締まりを何度も見直す
・火事になるのではないかと、コンセントやガスの元栓を何回も見直す (確認)
洗浄
・汚染に関する強迫観念と洗浄に関する強迫行為の組み合わせ(汚い、汚れが取れないなど)
・トイレのドアノブに触れたことをきっかけに、恐ろしい病気に感染するのではないかと思い, 手洗いを念入りに何回も繰り返す
・シャワーを何時間も浴びる。
・家中を執拗に磨く
治療法について

現在, 推奨されている強迫性障害の治療法は, 薬物療法、認知行動療法、もしくはその併用である.
<薬物療法>
・抗うつ薬である選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)が第一選択であり、十分量を十分期間使用する。
・SSRIの効果がみられない場合、非定型抗精神病薬による増強療法が行われる。
・最近では、グルタミン酸やその調節を受けるNMDA受容体機能と強迫症状との関連が指摘され、グルタミン酸関連製剤の治療効果が検討されている。
<認知行動療法>
・患者と家族に、強迫性障害の成り立ちや認知行動療法が作用するメカニズムなど、基本的な理解を深めてもらうことが大切。
・認知行動療法の技法のうちでも、曝露反応妨害法を中心に行う。
治療の概要(考え方)
強迫観念と強迫行為が悪循環を起こしているため、これらを切り離す必要がある。
曝露反応妨害法は, 曝露法と反応妨害法の二つの要素からなり、
患者が避けている不安の対象にあえて直面化させる (曝露)
その後、強迫行為を行わずに自然に不安が低減し、慣れていく (反応妨害)
というものである。
※暴露反応妨害法を行う際の注意
事前に患者自身がどのような時、場所でどのような強迫観念、強迫行為が生じるかを記録した行動記録表をもとに、不安階層表 (主観的不安の強さを生じさせやすい順に症状が起きる場面を並べた表) を作成し、比較的弱い不安の場面から順に取り組むことが望ましい。
検査について
重症度や症状の多様性を客観的にとらえるために、評価尺度が開発されている。
代表的なものに、イェールブラウン強迫尺度 (Y-BOCS)がある。
これはGoodmanら(1989) によって強迫性障害の重症度を測定するために開発されたものです。
10項目を質問し、各項目0から4点の総点40点で評価する
30分程度の半構造化面接によって評価される。
強迫性障害 (OCD) の看護の視点
基本的なことだが、患者の苦しみを十分に理解し、共感する姿勢を大切にすること。
対象者の家族からの意見
・「(対象者の) 強迫行為にどのように接すればよいかわからない」
・「強迫行為を一緒にするように言われたがどうしたらよいかわからない」
・「強迫行為に対する保証を求められたがどうしたらよいかわからない」
といった質問をされることがある。
強迫性障害の方が入院した際には、新人看護師も同様の経験をすると思います。
強迫性障害では、対象者自身も自分の行為の過剰さや不合理さについて感じていることもあるため、患者の葛藤している心理を理解しようとする態度が重要である。
その上で、強迫行為や巻き込みが症状を維持・悪化させる要因になっていることを説明し、苦しくても強迫行為を止めることが治療のために必要であることを繰り返し伝えることが重要である。
・強迫性障害(1) ← 前回書いた記事です