訪問看護師はなぜ人気がないのか。
看護師のみなさんは、病院勤務やクリニック勤務は大抵の看護師さんは経験しているかとは思います。
しかし、周りを見てみると訪問看護師は一握りの方しかおらず、また訪問看護に対しても壁があるように感じます。
なぜそう言った訪問看護師に対して抵抗があるのか少なからず、何らかの理由があると考えられます。
しかし、やりがいも楽しさもたくさんある仕事なのも確か。
目次
訪問看護が人気ない理由5選
訪問看護師があまり看護師さんの中で人気がないのにはいくつか理由があると考えます。
・訪問時は一人での訪問になること
・オンコールがあること
・体力的な負担があること
・他人の家にお邪魔すること
・運転をすること
順番に説明したいと思います。
一人での訪問になること
訪問看護師で嫌なことと言ったらこれが一番最初に出てくる理由ではないでしょうか。私も病棟看護師時代はこれが一番気に掛かって、訪問看護師には踏み出せずにいました。
そして、また一番のネックに思っていたことで病棟看護師と違いについて
・一人で訪問看護を行うことで、相談相手もいないんだろうなー。
・経験不足・知識不足がモロに現れて、一人での判断が怖い、できなさそう。
・判断に対する責任が重たそう。
・実際訪問看護として働いてみて、判断に迷うときや一人で困ったときなどは電話で上司や先輩などにすぐ相談できます。
・必ずしも一人で全て判断しなければならない訳ではありません。
しかし、病棟のようにいつも医師や他の看護師がいる訳でもありません。
上記のような不安を感じ、「訪問看護師は怖い、難しい」といった偏見を持たれ、それが一人歩きしていることも事実です
オンコールの対応
オンコールの対応があるというのも抵抗がある要因の一つかと思います。
〜オンコールとは〜
時間外待機のことです。
勤務時間外に利用者からかかってきた電話に対応することを言います。
電話相談で終わる時もあれば、深夜に緊急で訪問対応をすることもあります。
オンコールでの対応として
・その場で判断を迫られる
・いつ電話が来るかわからないこと
・もしかしたら深夜に訪問対応をしなければならないこと
・夜間出動した翌日も仕事があること
判断の難しさに関しては前に述べたように一人で訪問するのと似たようなことになりますが、オンコールでの判断は相談相手もおらず、少しハードルが上がっているかもしれませんが、緊急を要する場合はすぐに救急要請をするように促しましょう。また、緊急を要さない電話などは翌日の朝に対応する様にします。
また、夜の緊急訪問では夜勤と同様ですが、冬の寒さはまた訪問看護ならではでないでしょうか。でもほとんどありませんが。
各訪問看護ステーションで異なってはきますが夜間緊急訪問を行っても翌日仕事というケースはまだまだ多いようです。
体力的な負担
体力的な負担もあることは事実です。
・真夏の暑い中の移動。真冬の寒い中の移動。また車に戻るたび、車内がサウナ状態など。
・ケアの多い利用者さんのケア・対応も一人で行う
・オンコールがあるときは夜間も緊急訪問となる。
訪問看護は体力が削られるんだよねー
長く続けることを考えるともたない気がする
夜間緊急訪問をした後に翌日訪問看護は通常通りで朝から出勤はきつい。
自身の健康状態やコンディションを考えると上記のような意見が集まってきてしまうのが現状です。
他人の家にお邪魔すること
他人の家に上がることも訪問看護の嫌がられる要因になっています。
訪問看護は看護師自らが利用者さんのご自宅に伺って訪問を行います。
そこには働く上でベストではない環境やリスクが少からずあります。
・かなり不衛生。
・密室となるため、事故やハラスメントが起こる危険がある。
・利用者、独特な生活パターンのルールある
「どうしても汚い部屋があ生理的に無理」
「事故やハラスメントが怖い』
「色々気を遣って精神面で疲労が溜まる」
上記のように感じる方はどうしても避けがちになってしまいます。
運転ががあること
訪問看護に抵抗がある方で理由に上がることは運転をしないといけないことという方もいます。
利用者さんの自宅に行く際の移動は看護師自身で行います。
主に
・車
・自転車
・バイク
都心では自転車で移動した方が早い場合がありますが、地方の方では殆どが車と車移動となります。
車の運転は看護と全く別なことなのでどうしても克服できない場合があります。
「運転がとても苦手」と思う方は運転しない方がいいですし、緊張状態で運転しても事故に遭う確率が多くなります。運転が苦手な方は致命的かもしれません.
訪問看護に対する認知不足や間違った先入観も人気の無さの一つ。
訪問看護に対する認知不足や先入観も人気のなさにつながっていると考えます。
厚生労働省によると、2020年末時点で就職している看護師のうち訪問看護に従事している割合は、実人員ベースで4,9%という数字がでている。
就業している看護師がどこで勤務しているのか。
・病院:69%
・診療所:13.2%
・介護保険施設等:7.9%
・訪問看護ステーション:4.9%
・社会福祉施設:1.7%
・看護師等学校養成所、又は研究機関:1.4%
上記をみて分かる通り、訪問看護師の割合は少ないものとなっています。
つまりは、多くの看護師は訪問看護師の仕事内容を表面上でしか知らないということです。
実際、病棟と訪問の看護の仕方は全然違いますし、異なる点も多々あります。
仕事の内面もわからないと、やっぱり人間知らないことに怖がる傾向があるので「怖い。」「難しそう」という先入観が芽生えるのも不思議ではありませんね。
そのようなことから認知不足や先入観で訪問看護に対して不安が強くなり、不人気に繋がっているのではないかと考えます。
訪問看護師も楽しいこと3つ
今までは、訪問看護師があまり人気がない理由に関して、書いてきましたが今からはやりがい、楽しいことなどぜひ、知ってほしいことの3つ程度紹介します。
・病棟業務とは違い、自分のペースで利用者さんと面談ができる
・「家で過ごす」という利用者の素の部分に触れ、受け入れられた時の優越感
・さまざまな人生に触れ、感性を揺さぶられる楽しさ
自分のペースで利用者と話せる
訪問看護には多重業務に追われず、利用者さんと1対1でじっくり関われる楽しさがあります。
各利用者さんの訪問サービス提供時間は利用する保険やケアマネージャーが作成するケアプランに基づきあらかじめ決まっています。
・介護保険利用の場合〜30分もしくは60分で介入することが多い(厳密にいうと20分未満・60分以上90分未満とうい場合もあります)
・医療保険利用の場合〜30分〜90分での介入
この決まられた時間で利用者さんやそのご家族さんのために使います。
病棟や施設だと看護師1人に対して複数名の患者さんが受け持たなくてはなりません。加えて、ナースコール対応や電話対応、窓口対応など複数の業務が重なり、優先順位をつけながら忙しく働く場面も少なくありません。
多重業務となると余裕もなくなり、イライラしてしまうこともありますが、訪問看護ではそのようなことは滅多にないです。決められた時間内で家族や本人さんと向き合い、適切なケアができます。
なので、多重業務に追われることなく利用者と関われる楽しさは訪問看護の大きな魅力と考えます。
利用者が家で過ごし、受け入れられた時の優越感
利用者のほとんどが病院での入院治療より自宅での在宅治療がいいと考えています。そのことを念頭に置き、訪問看護を行うと、大きなやりがいにつながっていくんじゃないかと思います。
精神科の在宅医療では、疾患の自覚をされてない方や薬の自己管理が不十分な方、他にも沢山ありますが援助が必要となる利用者へ最初は疑いや緊張など感じれる目線で見られるが、訪問看護を行なっていくにつれ、どんどん利用者側も信頼してくれるようになり、腹を割った話をするときはとても気持ちが良くなります。
こう言った利用者と仲が良くなり、信頼関係が築けると訪問看護では他の事業所にも浮気せずに受けてもらえるので、とても有効だと思います。win・winの関係ですねw
さまざまな人生に触れ感性を揺さぶられる楽しさ。
訪問看護ではさまざまな人生に触れ、感性を揺さぶられる楽しさもあります。
利用者さんがこれまで歩んできた人生や、もっている価値観は千差万別です。
多様な人生や価値観を受け止め、どのような医療やケアが看護となるのかプロセスで訪問看護師の感性も大きく揺さぶられます。
訪問看護をやっていなければ触れることのない人生や価値観を経験し、人の気持ちや在り方を考える力や優しさが育ちます。
これからの人生にきっと豊かさをもたらされると思います。