自分の子供が落ち着きなく、食事中でも席を立ったり、勉強に全然集中できなかったりと困ることありませんか?
基本、子どもは落ち着きなく、注意欠損する傾向がありますが、それもいきすぎると病気となりますので正しい対応が必要になってきます。
ですが正直な話、ADHDは、見分けることの難しい障害です。
子どもの発達過程で障害がある 『発達障害』で、ADHDの場合、7歳前後に症状が表出することが多いです。
この記事は、子どもの年齢ごとにADHDの症状や、接するときのポイント、治療法についてかいていきます。
ADHDとは?
『ADHD(注意欠陥・多動性障害)』とは?
行動が実際の年齢や発達より遅れ気味で、学業や社会的活動などに支障をきたす障害です。
またADHDは、自分自身の感情を、上手く制御することが難しいのも特徴です。
ADHDの症状とタイプについて
<不注意>
・集中力が持続できない
・忘れっぽい
・気が散りやすい
・同じことを繰り返すことが苦手
・興味あることから他の作業への切り替えが難しい
・ミスが多い
・道路などに突然飛び出す
・時間割の間違いや宿題ができないなど。
<多動性>
・落ち着きがない
・じっとしていることが苦手
・過度におしゃべりするなど。
<衝動性>
・思い付いたら先を考えずに行動する
・順番を待てない
・他の人の邪魔をする
・質問等が終わらないうちに発言してしまう
・かんしゃくを起しやすく乱暴になることがある
・授業を落ち着いて聞けないなど。
<複数の特徴を合わせ持つ”混合群”>
不注意、多動性、衝動性の症状を合わせもつタイプ。規則を守れない、じっとしていられないなど。
ADHDの原因について。遺伝する?
実はADHDの原因は未だ明確には分かっていないんです。
脳の中枢神経系に障害があることが、原因とも言われていますよね
現在、有力な原因として、生まれつき、脳の一部である『中枢神経系』の機能に障害があることが、原因のひとつであるといわれています。
感情や精神のコントロール、記憶や運動や睡眠など、重要な機能に深く関わりがある『脳神経伝達物質』の中には『ドーパミン』や『ノルアドレナリン』がありますが、中枢神経系の障害によって、これら脳神経伝達物質の機能がうまく働かなくなり、不注意や多動性の症状があらわれると考えられています。
また、ADHDの原因は、前頭葉の前側にあり記憶や学習にかかわる『前頭前野』を含む、脳のはたらきに偏りがあるから、という意見もあり、ADHDのある家系の場合、ない家系より発現しやすい傾向があるといわれています。
そのため遺伝的関与、または家族性があるかどうかは否定できません。
年齢別のADHD 子どもの特徴について
乳児(0~1歳)
生まれてすぐに、ADHDだと診断されることはありません。
しかし、後にADHDだと診断を受けた人の多くに、『寝付きが悪い』、『視線を合わせない』、『だっこされることを嫌がる』などの共通の特徴がみられます。
幼児(1~6歳)
小学校入学までの幼児期に、ADHDの症状があらわれることが多いです。
特徴として、『トラブルの原因となる行動をとる』ことが挙げられます。
<トラブルの原因となる行動をとる>
・友達に乱暴する
・我慢ができない
・順番などルールを守れない
・落ち着きがなくじっとしていられない、などの症状がみられます。
ADHDの子どもの場合、こうした行動を保護者や身近な人がいくら注意しても、簡単には治りません。
また、幼児期のADHDの場合、他の発達障害との合併症として、言葉の遅れがみられることもあります
<ADHDと合併の多い発達障害>
・アスペルガー
・自閉症を含む自閉症スペクトラム(ASD)
・学習障害(LD)
・睡眠障害 などがあります。
学童期(6~12歳)
学童期は、ADHDの症状がさらに目立ってきます。
ADHDの診断を受けることが多いのもこの時期で、男子は8歳、女子は12歳が平均だといわれています。
<家や学校での特徴>
・授業中、じっと座っていられず歩き回る
・忘れ物が多く、物を無くすことも多い
・突然話しかけて人の邪魔をしてしまう
・不器用でダンスや工作が苦手なことが多い
・友達との間にトラブルが起きやすい
・注意力に欠け、興味の対象が次々変わる
・自分の気持ちを制御できず、突発的な行動を起こしやすい
ADHDによる行動は、周囲から「問題児」として扱われてしまうことも多いです。
しかし、本人に悪気はありません。
周囲からの理解が大切となってきます。
ADHDは治る?
現状、ADHDを完治させる方法はありません。
しかし、薬やさまざまなトレーニングによって、少しずつ問題となる行動を減らすことは可能です。
子どもがADHDと診断されたら…どう接する?
ADHDの子どもに対して、厳しいしつけはNG
ADHDの特徴を理解せずに、厳しくしつけをしても、症状は改善されません。
ADHDの子どもの多くは、「○○をしてはいけない」、「○○しなければ」と分かっていても、自分で計画したり、実行したりすることが難しいといわれています。
じゃ、どうやって接していけばいいの?
ADHDの子供に接するときの8つのポイント
ADHDの子どもと接するときは、この8つのポイントを心がけるようにしましょう。
・言葉による指示は伝わりにくい。画像やイラスト、チェックリストなどで指示を可視化する
・テレビやおもちゃなど、刺激になる物を取り除き、集中力を維持しやすい環境を作る
・子どもと目線を合わせ、素直に感情や思いを伝える
・上手にできた時は、その場ですぐに褒める
・注意する場合は、過度に叱らず、子どもの近くまで行き、穏やかに落ち着いて注意をする
・子どもが興奮状態にあるときは、まず落ち着かせることが大切。落ち着いたことに対し褒める。その後
「次はこうしたら?」と代わりになる行動を提案する
・「何度言ったらわかるの」や「だめ」などの言葉は、具体性がなく、伝わりにくいです。こうした怒り方は避ける
・「行動力がある」、「おとなしくできたね」など、子どもの良いところを褒めて伸ばす
ADHDの子どもを育てる心得
ADHDの子どもを育てるときに大切なのは、子どもの特徴を理解し、良いところを伸ばす手助けをすることです。
思うように育児ができなくなってしまう時が出てくるかと思います。
時には感情的になったり、悩んでしまったりすることもあるかもしれません。
そんなときは抱え込まず、病院などに相談しましょう。
相談することで気持ちが落ち着き、子どもと落ち着いて向き合う手助けになることもあります。
ADHDの治療について
何科に相談すればよい?
ADHDが疑われる場合は、『小児科』や『思春期精神科』などで相談しましょう。
初診の際は、子どもの日々の行動について、具体的に記録したものを持って行くと、スムーズに状態が伝わります。
ADHDの治療目標
ADHDの治療の目標は、「子ども自身の生きづらさを改善。友達や周囲との良好な関係を築けること」です。
決して、扱いやすい子どもにすることではありません。
その目標にむけて、子ども自身が自分の特性を理解し、行動をコントロールできるように促していきましょう
教育、療育的支援
教育、療育的支援によって、子どもの周囲環境を整える治療法です。
具体的には、
・保護者が具体的な対処法を学ぶ『ペアレントトレーニング』
・子ども本人が適切な行動について学ぶ『ソーシャルスキルトレーニング』
などがあります。
薬による治療
薬を使った治療では、『アトモキセチン』と『メチルフェニデート』が使用されることが多いです。
どちらも、ドーパミンや、ノルアドレナリンの不足の改善が期待されます。
まとめ
<病気によって、親子ともにキツい思いをすることも>
ADHDの子どもは、家や学校など、日々の生活の中で辛いことに直面することが多々あるかと思います。
悪気なく周囲と違った行動をしてしまうことも多くあるので、「問題児」と判断され、親子でキツい思いをすることもあります。
一番近くにいる親が子供を一番見ているかと思います。
「もしかしたら、うちの子ADHDかも…」と思ったら、早めに小児科や、精神科で相談しましょう。
適切な治療やサポートを受けることで、本人や保護者、周囲の人もADHDについて理解し、子どもの良いところを伸ばす手助けをすることができます。
親も辛いでしょうけどADHDであることに、1番悩み苦しんでいるのは、子ども自身であることを忘れず、見守りながら手助けをしていきましょう。
<発達障害の人のためのトレーニング・ポイント8選>
発達障害とは
「発達しない障害」ではなく、特異的(他の人とはちがう形・スピード)に発達していく障害のことです。
そのため、学校でみんなが一斉に受ける授業とは別の形でトレーニングをしたり、生活を工夫することで、レベルアップしやすくなることもあります。
いずれの方法も自分一人で行うのはなかなか難しいです。
ちゃんとしたサポートをしてもらえる機関を探して頼れるといいかもしれません。
- ソーシャルスキル・トレーニング
- ABA(応用行動分析)
- 認知行動療法
- セルフモニタリング
- ビジョン・トレーニング
- 感覚統合療法
- 構造化
- ICT活用
<SST(ソーシャルスキル・トレーニング)>
学校でのできごとなど、様々なシチュエーションをイメージして「社会生活の中で自分が困りそうなことをどう対応すべきか?」を予習したり、気持ちの整理をするプログラムです。
やり方は様々ですが、「こんなときどうする!?」を何人かでディスカッションしたり、ロールプレイをするのが一般的です。
最近ではVRを活用したSSTも誕生しています。
<ABA(応用行動分析)>
行動の原因/理由を探りながら、プラスの行動を増やし、マイナスの行動を減らすための手法です。
問題行動があればその原因をみんなで話し合い、欠点を探すのではなくよかった点を探し褒め合うことで次につながるようにする場です。
これも自分ひとりだけではできず、協力者が必要です。
専門家に相談しながら、ご家族や先生、周囲の人と相談しながら取り組めると良いでしょう。
<認知行動療法>
不安が強くなりやすい人におすすめです。
物事の捉え方・受け止め方を見直して、柔軟にすることで、気持ちを楽にしたり行動を変えたりする方法です。
以下のように、偏った考え方をしてしまうことはありませんか?
①根拠のない決めつけ
証拠が少ないままに思いつきを信じこむこと
②白黒思考
あいまいな状態が耐えられず、ものごと全て白か黒かという、極端な考え方で割り切ろうとすること
③部分的焦点づけ
ものごとのごく一部だけに目を向け、短絡的に結論をだすこと
④過大評価・過小評価
自分が関心のあることは大きく、逆に自分の考えや予想に合わない部分は小さく捉えること
⑤「べき」思考
「こうあるべきだ」「あんなことすべきでなかった」と過去のことを思い出して悔やんだり、自分を責めたりすること
⑥極端な一般化
少数の事実を取り上げ、全てのことが同様の結果になるだろうと結論づけること
⑦自己関連づけ
何か悪いことが起こると、自分のせいで起こったのだと責めること
⑧情緒的な理由づけ
そのときの自分の感情だけにもとづいて判断すること
⑨自分で実現してしまう予言
「どうせうまくいかない」というように、自分で否定的予測を立てて自分の行動を制限してしまい、自分の行動を制限することで予測通り失敗すること.その結果、否定的な予測をますます信じ込み、悪循環に陥る
こんなときには、以下のように考えを整理していくと、ちがう見方や捉え方ができるようになります。
気持ちがぐっと楽になるはずです。
STEP1 どんなことが起きた?
STEP2 どんな気持ち?
STEP3 どんな風に考えた?
STEP4 どうしてそう思った?
STEP5 反論するとしたら?
STEP6 現実的に柔軟に考えるなら?
STEP7 気持ちはどんな風に変化した?
<セルフモニタリング>
様々なメソッドを実践していく上では、まず「自分自身について正しく理解している」という状態をつくることが大切です。そのために、日々のことを記録していく週間をつけましょう。
- 時間の使い方のセルフモニタリング…その日にどういった活動をどれくらいしたのか、記録していく
- 心と身体のセルフモニタリング…今日はどんな気持ちだったか、どんな体調だったを記録していく
<感覚統合療法>
色々な刺激に過敏すぎたり、鈍感すぎる、自分の身体を上手にコントロールできない、などの悩みをもつ人におすすめです。
日常の中で取り入れられるものから、専用の機材が必要なものまで様々です。
作業療法士さんと相談をして、一緒に治療すると良いかと思います。
<構造化>
「視覚的」「具体的」「肯定的」「段階的」に環境を、わかりやすく整えることを構造化と呼びます。
状況を理解するのが苦手だったり、混乱しやすいタイプの人にはおすすめです。
- 物理的構造化…空間を構造化すること → スペースの確保
- スケジュール…時間を構造化すること → 1日の計画
- ワーク/アクティビティシステム…活動の構造化 → マニュアル化
<ICT活用>
トレーニングというよりは、苦手な部分は便利なアイテムで補おう。という考え方です。
例として苦手なことに対しての工夫を紹介していきたいと思います。
「書く」を助けるICT
- パソコン(タイピング)
- 写真(板書を写す代わりにパシャリ)
- 音声入力
「読む」を助けるICT
- デジタル教科書
- 音声読み上げ機能
- 読み上げペン
「計算する」を助けるICT
- 電卓
- 計算アプリ
「思い出す」を助けるICT
- カレンダーアプリ
- リマインダーアプリ
- TODOアプリ
- 時計などのアラーム(学校にスマホを持ち込めないときに便利!)
「体調管理」を助けるICT
- セルフモニタリングアプリ
- お薬管理アプリ などです。
ADHDはとても辛い病気です。
子供はその知識がありません。大抵、一人で抱え込んでしまう場合が多いです。
いち早く親の気付きや周囲の気付きが必要とします。
気付いた場合は迅速に医療機関やクリニックなどに相談して適切なサポートを受けることをお勧めします。